奄美大島のハゼ最新情報

不明種について専門家の方からご教示していただいた情報,
レアものについてのメモ書き,ハゼ関連トピックスなどを載せています。

トップ

倉崎ビーチのシノビハゼ属の1種について(奄美大島初?&北限記録?) 12/15/2004

シノビハゼ属の1種 
Ctenogobiops sp.
(C.tongaensis ?)

倉崎ビーチ,水深約15m


最近,倉崎ビーチで最も探していたハゼをついに発見!(12月15日のログ参照)

「これ
シノビハゼじゃないの?」と言われそうなくらいシノビハゼC.pomastictus によく似ていますが,シノビハゼとは別もので,「日本のハゼ」によると2003年に新種として記載されたC. tongaensis と考えられているシノビハゼ属の1種(まだ和名なし)のようです。

このハゼ,「日本のハゼ」を見ると「内湾の中程から湾奥(中略)に生息」とあり,さらに分布は「慶良間,久米島,石垣島,西表島」などと奄美大島まであと一息のところまで来ているので,絶対に奄美大島にも居るはず!と思っていました。それでシノビハゼを見るたびに「sp.かな?」と見ていましたが,いつも「普通の」シノビハゼで,なかなか見つかりませんでした。そしてようやく12月15日,倉崎ビーチでめでたく発見!!

さて,シノビハゼ属の1種
シノビハゼをどこで見分けるかなんですが,水中では頬の縦線がわかりやすいです(下画像)。
シノビハゼ属の1種
頬の縦線は途中薄くなった長いのが1本あるのみ(
シノビハゼ
頬の縦線は短いのが多数(6つくらい)ある

この見分け方は,琉球大で魚類の生態を研究しているNさんに教えていただきました。Nさんありがとうございました。

遠目でこの頬の縦線でまず見分け,「sp.かな?」と思ったらさらに近づいて,以下の点も確認できたら間違いなしといったところでしょうか(以下の識別点は「日本のハゼ」より引用)。

○体側黒点のちがい
シノビハゼ属の1種
体側の黒点に黄色が乗らない(
シノビハゼ
体側の黒点に黄色が乗る(

○尾鰭基底の黒点数
シノビハゼ属の1種
尾鰭基底に黒点3つ(
シノビハゼ
尾鰭基底に黒点2つ(

追記:2012年の論文で,このハゼをCtenogobiops mitodes として標準和名アオヒゲシノビハゼが提唱されました。