「奄美大島ならではのハゼ」をご紹介!

奄美大島ならではのハゼ固有種とまではいかなくても,他で観察・撮影例が極めて少ない,
あるいは他より観察・撮影しやすい条件を備えたハゼ


奄美大島ならではのハゼEとF
2009年1月17日アップ






キララハゼ属の1種

ホシノハゼ

しばらく(というか2年近く,汗)更新をサボっていたクローズアップ「奄美大島ならではのハゼ」シリーズ,今回は2種類, キララハゼ属の1種ホシノハゼをアップしました。

なぜこの2種類一緒にアップしたかというと・・・キララハゼ属の1種を探していると必ず先に目につくのがホシノハゼでして,しかも両者は海中では(写真でもかな?)一見かなり似ていて,よ〜く見て見分ける必要があります!よって両者の識別ポイントをメインにこの2種類を並べてアップすることにしました。

まずはそれぞれのハゼについて,知っていることを簡単にご紹介・・・



キララハゼ属の1種

分布域

他の海域では,西表島で採集されているらしいです・・・2006年3月にはじめて見つけた際,研究者のKSさんに「西表島で採集されているキララハゼ属の1種ではないか」と教えていただきました。(採集はされているものの水中写真はほとんどないようで,あのハゼの大著「日本のハゼ」(初版1刷)未掲載)

最近の情報は不明(汗)・・・奄美大島,西表島以外の情報をお持ちの方は是非教えてください。

生息環境

生息環境は湾奥の水深10〜25メートルくらいの軟泥底。いままでに3度(3匹)目撃(そのうち2匹撮影)・・・しばしば探しに行きますが,滅多に見れないです。
下が撮影した全2画像

海のスジハゼ

河口域に棲むものばかりのキララハゼ属(スジハゼの仲間)の中で,このハゼは河口や川で見たことがないです・・・「海のスジハゼ」といったところですね



ホシノハゼ

奄美大島のホシノハゼ

1990年の論文で「ニセホシノハゼ 」(Istigobius sp.=未記載種どまりで新種として記載されるには至らず)として一度,温帯域のホシノハゼとは別物として名前がついたことがありました。

しかし,2000年で出た「日本産魚類検索第2版・全種の同定」で「標本を検討した結果(中略)ホシノハゼの誤同定であることがわかった」として奄美大島のホシノハゼも「普通の(温帯域と同じ)ホシノハゼ」とされてしまい,ニセホシノハゼの名前は現在使われなくなってしまっています。

しかし・・・

ニセホシノハゼ
復活か(?)

研究者TSさんのアドバイスで奄美大島のホシノハゼを観察してみたところ,温帯域のホシノハゼとは以下のような違いがあることがわかってきました。

1.奄美大島のホシノハゼは小さい:
温帯域のホシノハゼが10数cmになるのに対して,奄美大島のホシノハゼは最大でも全長7cm程度(下画像が7cmくらいの個体)

最大級(全長約7cm)の奄美大島のホシノハゼ
2.奄美大島のホシノハゼは色薄め:
温帯域のホシノハゼ♂(婚姻色時など)に見られる第1背鰭の黒斑や第2背鰭と臀鰭の青や黄色の発色が,奄美大島のホシノハゼには出ない

奄美大島のホシノハゼ
これでも発色が良い個体,
しかし,第1背鰭の黒斑や第2背鰭と臀鰭の発色が出ない

といったわけで,奄美大島のホシノハゼが温帯域のホシノハゼと別物の可能性も出てきました。

遺伝子レベルなどの研究が必要ではないか(研究者TSさん)とのことですが,将来 ニセホシノハゼの名前が復活するかもしれません。

奄美大島以南のホシノハゼ

「日本のハゼ」(初版1刷)にはホシノハゼの分布域に沖縄島も入っていますが,沖縄のホシノハゼもやはりニセホシノハゼタイプなのか?あるいは温帯タイプ?(それとも別のハゼの誤同定?)。

残念ながら私は情報を持っていませんが,奄美大島以南のホシノハゼについて情報をお持ちの方は是非教えてください。


さて, 同一環境で見られるキララハゼ属の1種ホシノハゼ(奄美大島のホシノハゼ)を以下のようなポイントで見分けています。

1.尾部3個目の黒斑の有無
キララハゼ属の1種
奄美大島のホシノハゼ
この尾部3個目の黒斑の有無が水中で見分ける場合は一番わかりやすそうです。

尾部3個目の黒斑で確認したあと,もう1歩寄って,顔(吻)の特徴も確認。
キララハゼ属の1種
奄美大島のホシノハゼ

ホシノハゼ(奄美大島のホシノハゼ)は砂泥から軟泥底でしばしば見られますが,キララハゼ属の1種はとにかく3回しか見ていないので,もっと観察する機会を増やしたいところです(なかなか出ませんが)。

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